
高陽総合運動場をのみ込んだ5万4000人の大合唱と光の饗宴
「アイ・セッド・ウー∼、アイム・ブラインディッド・バイ・ザ・ライツ。ノー、アイ・キャント・スリープ・アンティル・アイ・フィール・ユア・タッチ∼」(I said, ooh, I'm blinded by the lights. No, I can't sleep until I feel your touch・光に目がくらんでしまった。あなたのぬくもりを感じるまで眠れない)
世界的ポップスター、「ザ・ウィークエンド」(The Weeknd)の甘く魅惑的な歌声が7日夜、京畿道・高陽総合運動場のメインスタジアムを歌詞のように明るく照らした。スタジアムを埋め尽くした約5万4000人の観客が歌うメガヒット曲「ブラインディング・ライツ」(Blinding Lights)の大合唱は、反対側の客席を越え、競技場の外まで巨大な響きを届けた。
首を揺らしたくなる躍動的なメロディーと軽快なシンセサイザーサウンドが重なり、観客は数人ずつ集まってリズムに合わせて踊るなど、まさに祭りの場をつくり上げた。曲名に呼応するまばゆい照明が幾重にもスタジアムを包み、中央制御システムと連動した観客のリストバンドがきらめき、濃い闇を完全に追い払った。
「現代カード・スーパーコンサート」の28人目の出演者として登場した「ザ・ウィークエンド」が韓国を訪れるのは、2018年の初来韓公演以来、実に8年ぶりだ。2日間で予定された約10万8000席は早々に完売し、揺るぎないチケットパワーを証明した。

ポピュラー音楽界の主流に躍り出たオルタナティブR&Bの王者
カナダ出身の「ザ・ウィークエンド」は、R&Bにヒップホップ、エレクトロニック、ファンクなど多様なジャンルを融合した「オルタナティブR&B」をポピュラー音楽界の主流へと押し上げた唯一無二のアーティストだ。聴く者の耳を一瞬でつかむ洗練されたメロディーラインを武器に、「キャント・フィール・マイ・フェイス」(Can't Feel My Face)、「ザ・ヒルズ」(The Hills)、「スターボーイ」(Starboy)、「ダイ・フォー・ユー」(Die For You)など数多くの世界的ヒット曲を生み出した。
特に2019年に発表されたシンセウェーブの傑作「ブラインディング・ライツ」は、昨年8月、世界最大の音楽配信プラットフォーム、Spotifyで史上初めて50億ストリーミングを突破し、ギネスブックに掲載された。2021年にはビルボードの「オールタイム・ホット100」チャートで1位を獲得するなど、ポップス史上最も成功した曲の一つと評価されている。卓越した音楽性にもかかわらず、当時グラミー賞の候補から外され、世界的な論争を引き起こしたほど、その影響力は絶大だ。「ビューティー・ビハインド・ザ・マッドネス」(Beauty Behind the Madness)などのアルバムで、グラミー賞の最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバム部門を含む計4つのトロフィーを手にしている。

銀色のマスクと巨大な黄金像、視覚的な限界を超えたステージ演出
今回の公演に向け、高陽総合運動場には巨大な一直線のメインステージと、競技場を横切る十字形の延長ステージが設置された。ステージ中央に置かれた建物2階分の高さに相当する荘厳な金色の像が、観客の視線を一瞬で奪った。十字形のステージ各所から火柱が噴き上がり、緑色のレーザーが夜空を切り裂く中、「ザ・ウィークエンド」は神秘的な銀色のマスクを着けて登場し、爆発的な歓声を浴びた。
目から緑の光を放つマスク、赤いマントをまとったダンサーたちの群舞、スタジアムをクモの巣のように彩るレーザー照明が、ディストピア映画を思わせる独創的な美学を完成させた。「バプタイズド・イン・フィア」(Baptized in Fear)で力強く幕を開けた彼は、持ち味である柔らかく感情豊かなハイトーンボーカルで、都会的でありながら危うい魅力を放った。
「スターボーイ」を含む7曲を息つく間もなく歌い切って初めてマスクを外した彼は、韓国のファンに向け、満面の笑みで最初のあいさつを送った。2018年に高尺スカイドームで行った初来韓公演を振り返り、「僕の音楽人生で初めてのスタジアム公演が韓国だった。あの時、皆さんがくれた途方もない愛を忘れられない」と感慨を語った。続けて「今夜、皆さんは高陽総合運動場を完全にひっくり返した。「アフター・アワーズ・ティル・ドーン」(After Hours Til Dawn)ツアーへようこそ」と呼びかけ、会場の熱気を最高潮へと押し上げた。BLACKPINKのジェニーがフィーチャリングで参加して話題となった「ワン・オブ・ザ・ガールズ」(One Of The Girls)のステージでは、腕でハートを描き、韓国のファンへの特別な愛情を示す場面もあった。

世代を超えたポップアイコン、韓国のファンと交わした熱い交流
公演が中盤に差しかかるとサウンドは一段と重厚さを増し、華やかな花火や特殊効果が絶え間なく繰り出され、スタジアム全体が巨大な野外クラブへと姿を変えた。水が流れるように有機的につながる緻密なセットリストが、観客を一瞬たりともステージから目を離せなくした。「ザ・ウィークエンド」は約120分の公演時間で実に40曲を疲れた様子も見せずに歌い切り、世界トップクラスのポップスターにふさわしい圧倒的な実力を証明した。
特に曲の途中で歌詞を「コリア」(Korea)や「高陽」に変えて歌ったほか、「アウト・オブ・タイム」(Out Of Time)では延長ステージの下に降り、観客と直接マイクを受け渡し、ハイタッチを交わすなど、積極的な交流でファンを熱狂させた。
大衆音楽評論家のイム・ジンモ氏は、「ザ・ウィークエンド」について「2010年代以降に登場した最高のポップスターであり、愛と別れという普遍的な題材で若者の心をつかんだ、卓越したメロディーの魔術師だ」とし、「R&Bを基盤とする大衆的な感覚は他の追随を許さず、「ブラインディング・ライツ」は過去への郷愁と現代的な洗練が完璧に融合した名曲だ」と絶賛した。
この日、高陽総合運動場周辺は早くから集まった人々で大混雑となった。韓国のファンだけでなく、世界各国から訪れた外国人観客も相次いだ。マイケル・ジャクソンの熱烈なファンでもある「ザ・ウィークエンド」へのオマージュとして、「ブラインディング・ライツ」のアルバムジャケットさながらに黒いベストと赤いジャケットを着て、アフロヘアのかつらをかぶって会場を訪れたファンの姿も目を引いた。
一方、2007年に始まり今年で20年目を迎えた「現代カード・スーパーコンサート」は、今回の公演で累計観客数が73万5000人を突破した。スーパーコンサートを含む現代カードの複数のブランド公演で初来韓を果たした世界的アーティストは44組に上る。「ザ・ウィークエンド」は8日、同じ会場で2回目の公演を開き、韓国のファンとの熱い出会いを続ける。

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