偉大なる失敗 是枝裕和が〈箱の中の羊〉で描いたもの②
▶ 是枝裕和〈箱の中の羊〉を論じる本稿は、前編の続き. アニミズム的感覚の回復目に見えないものを信じる心は、自然物や自然現象に魂や精霊のような目に見えない存在が宿ると考える日本の伝統的なアニミズム思想とつながる. 是枝は本作でアニミズムを土台に、生命と死を行き来しながら目に見えない領域との接続を試みる. そしてその接続は自然との連環と循環を前提としている. 本作における死は単なる消滅ではない. 肉体は消えても、魂は自然のつながりと循環のなかで生き続け、故人は自然と生命の流れの中でなお応答しうる存在となる.
