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【映画祭】第16回ソウル国際プライド映画祭 注目作②:「アジア・プライド」「スペシャル・プライド」部門と『韓国クィア映画史』

2022年から2025年まで韓国のスクリーンを彩ったクィア映画を、5人の批評家による批評と5人の監督へのインタビューで記録した『韓国クィア映画史 2022-2025』も刊行される。

〈ビハール湖の魔女〉 ©SIPFF
〈ビハール湖の魔女〉 ©SIPFF

※第16回ソウル国際プライド映画祭の注目作を紹介する第1回の記事から続きます。


ソウル国際プライド映画祭の「アジア・プライド」部門は、アジアで制作された多彩なクィア映画に出会える場だ。現代を映し出し、鋭い問題意識を込めた作品を選び、アジア各国の性的マイノリティの暮らしをありのままに紹介する。今年はインド、ミャンマー、トルコなど、さまざまな国の短編11作品を上映する。

今年のアジア・プライド部門で最も注目すべき作品は〈ビハール湖の魔女〉だ。恐ろしい魔女の伝説が語り継がれるインドの村で、臆病な少年ミートゥと10代の姉イシタがともに育つ。親の無知と怒りに耐えながら成長する2人に魔女の脅威が迫り、神秘と魔法がその成長を包み込む。「ヒジュラ」共同体の物語でもある本作が力を持つ理由は明らかだ。インド、パキスタン、ネパールにまたがって暮らす人々は、平和で豊かな時代には社会の一員として尊重され、それぞれの役割を果たす。しかし、対立や危機が訪れると、真っ先に犠牲となり、真っ先に存在を消されてしまう。監督は説話の装いを借りて、身分と階級の問題を象徴的に描き出す。

〈愛憎の熱帯雨〉 ©SIPFF
〈愛憎の熱帯雨〉 ©SIPFF

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〈愛憎の熱帯雨〉は、家庭での孤独と職場のストレスに悩む少年カウの物語だ。父親が出所したことで、カウは父との絆を取り戻したい気持ちと、職場で片思いする相手に父親の面影を求める欲望との間で揺れる。〈アルバス〉は、トルコの田舎で育つ子どもの物語だ。子どもは、自分に押しつけられる男性らしさの役割と、童話の中に見いだした自分のアイデンティティとの間で葛藤する。「オオカミ」になることを強いられるほど、子どもの内面と外の世界との隔たりは鮮明になっていく。英題の〈Wolf’s Egg〉が示すとおり、オオカミはこの映画において、なるべき姿であると同時に、まだそうなっていない状態でもある。

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〈アルバス〉 ©SIPFF
〈アルバス〉 ©SIPFF

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キム・スンファン・プログラマーは、今年のアジア作品群を2つの地域に分けて説明した。「北東アジアの映画がいまも儒教的な家族主義の影響下にあり、南アジアや東南アジアの映画が身分や階級の問題に立ち戻ることは、限界ではなく、アジアのクィア映画が自ら形づくっているアイデンティティです」としたうえで、「西洋が1980年代にキリスト教思想とエイズの時代を経て独自のクィア映画を生み出したように、いまアジアは自らの条件のもとで、自らの映画を紡いでいます」と指摘した。このように今年の「アジア・プライド」部門は、多様なアジアの性的マイノリティの暮らしを見つめ、その悩みを分かち合うと同時に、才能あるアジアの監督たちによる個性豊かな作品を存分に楽しめる特別な場となる。


〈孔雀〉 ©SIPFF
〈孔雀〉 ©SIPFF

「スペシャル・プライド」部門は、監督や俳優、国や時代など多彩なテーマに沿ってクィア映画を選び、特集上映や回顧上映として紹介する部門だ。今年は韓国映像資料院とともにデジタル修復した〈チム〉 〈チェンジ〉、『韓国クィア映画史 2022-2025』刊行記念の特別上映6作品、そして「コミュニティ・ボイス」特集上映が一堂に会する。2022年から2025年まで韓国のスクリーンを彩ったクィア映画を、5人の批評家による批評と5人の監督へのインタビューで記録した『韓国クィア映画史 2022-2025』は、ソウル国際プライド映画祭が2019年から続けてきた「韓国クィア映画史シリーズ」の延長線上にある取り組みだ。今回の特別上映は、その記録が扱う時期を代表する6作品を、映画館であらためて鑑賞する機会となる。

〈君と私〉 ©SIPFF
〈君と私〉 ©SIPFF
〈あの夏〉 ©SIPFF
〈あの夏〉 ©SIPFF

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第12回ソウル国際プライド映画祭のオープニング作品だった〈孔雀〉(2022)、第45回青龍映画賞で新人監督賞と脚本賞を受賞した〈君と私〉(2023)、チェ・ウニョン作家の同名短編をアニメーション化した〈あの夏〉(2023)、フェミニズム・ドキュメンタリーを手がけてきたカン・ユガラム監督の初の長編劇映画〈ラッキー、アパート〉(2024)、第62回百想芸術大賞で新人監督賞を受賞した〈3670〉(2025)、そしてキム・ジョグァンス監督の〈夢を見たと言って〉(2025)が続く。トランスジェンダーのワッキングダンサーから脱北者のゲイ、高齢のレズビアンカップル、18歳の少女の初恋まで、この時期に韓国のスクリーンが映し出してきた人々が一堂に集う、意義深い時間となりそうだ。

〈ラッキー、アパート〉 ©SIPFF
〈ラッキー、アパート〉 ©SIPFF
〈夢を見たと言って〉 ©SIPFF
〈夢を見たと言って〉 ©SIPFF



〈ねじれたネクタイ:ザ・ムービー〉 ©SIPFF
〈ねじれたネクタイ:ザ・ムービー〉 ©SIPFF

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「コミュニティ・ボイス」は、韓国で独立して自発的にクィアコンテンツを制作してきた団体や個人に光を当てる特集上映だ。オンラインプラットフォームを中心に制作・配給の道を切り開いてきた彼らの活動は、韓国のクィアコンテンツのエコシステムを支えるもう一つの柱である。今年は制作会社「MATCHBOX」の作品と、「セクトン映画版シーズン3」の短編が映画館で観客と出会う。

まず、MATCHBOXによる長編作品〈ねじれたネクタイ:ザ・ムービー〉(監督:イ・ヘリム)が上映される。続いて、多彩な趣のクィアロマンスを濃密に描くショートフィルムの短編アンソロジープロジェクト「キスキスXス」が、第2シーズンとして帰ってくる。BLジャンルにとどまった前作から一歩進み、今シーズンはGLの物語にまで世界観を広げた。今回の映画祭では、既成の文法を脱し、独創的な視点を示した新進監督の作品を厳選して特別上映する。〈レックオフ・キスオン〉 〈幽霊の初恋〉 〈生徒会長とキスマーク〉 〈アンダー・ザ・スキン〉 〈視線固定〉の5作品だ。

今シーズンの特色は明確だ。初々しいキャンパスロマンスにとどまらず、ホラーやスリラーまで取り込み、クィアロマンスのジャンル的な広がりを試みる。愛という名目で包み隠された支配欲と、それを逆手に取る権力の逆転を、危うさをはらみながら描き出す。他人の視線や社会の尺度に閉じ込められた登場人物たちが、愛という強い動機に出会い、いかに本当の自分を取り戻していくのか。ひんやりとしながらも温かな感情の幅が広がる。

セクトン映画版シーズン3「プリズム・オブ・カラー」上映作品のスチール ©SIPFF

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さらに、「セクトン映画版」シーズン3「プリズム・オブ・カラー」が加わる。セクトン映画版は、ゲイ当事者たちがワークショップ形式で集まり、自ら企画・制作してきた自発的な映画プロジェクトだ。プロの映画人ではない人々が、自分たちの物語を自らの手で記録すること自体に大きな意義がある。第3シーズンのタイトルは「プリズム・オブ・カラー」。一筋の光がプリズムを通ってさまざまな色に分かれるように、ひとつの名前でくくられるゲイの人生も、それぞれ異なる色を帯びているという視点だ。今年上映される4作品は、実際にそれぞれ異なる人生を映し出す。イ・ドンミン監督の〈49の心〉は50代のゲイの新たな恋を、チョン・ジャンヒョク監督の〈ドリーム・ステージ〉はドラァグクイーンたちの連帯を、キム・サンベク監督の〈二人のための箱〉は長年連れ添った恋人の日常を、パク・ジェヒョン監督の〈サラ〉は信仰の名のもとに加えられる暴力を描く。4作品はいずれも今回の映画祭で初公開となる。

このように「コミュニティ・ボイス」は、オンラインから始まった制作会社の作品と、当事者たちが自ら作り上げたワークショップの成果が、同じ映画館で並んで上映される場だ。ソウル国際プライド映画祭は、クィアコンテンツを制作する多様な声を尊重し、今後も韓国のクィア映画コミュニティの発展を支え、応援していく。なお、オープニング作品〈ブラック・ボール〉をはじめ、世界34カ国から集まった116本のクィア映画を紹介する連帯の場、第16回ソウル国際プライド映画祭は、11月5日(木)から11月11日(水)までCGVピカデリー1958で開催される。

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【映画祭】第16回ソウル国際プライド映画祭 注目作②:「アジア・プライド」「スペシャル・プライド」部門と『韓国クィア映画史』
ニュース
2026/10/23

【映画祭】第16回ソウル国際プライド映画祭 注目作②:「アジア・プライド」「スペシャル・プライド」部門と『韓国クィア映画史』

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【映画祭】第16回ソウル国際プライド映画祭 注目作①:「オープン・プライド」部門「トランスジェンダーが主人公に」
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2026/10/23

【映画祭】第16回ソウル国際プライド映画祭 注目作①:「オープン・プライド」部門「トランスジェンダーが主人公に」

プライド(PRIDE)は、性的マイノリティーの誇りを示し、LGBTAIQなどあらゆる性的マイノリティーを包摂する象徴的な言葉だ. 世界各地の優れたクィア映画を韓国に紹介する連帯の場として開催される、第16回ソウル国際プライド映画祭のチケットが、10月23日(金)午後4時から販売開始となる. チケットはCGVのウェブサイトおよびアプリで購入でき、料金は10,000ウォン. 今年の公式上映作品は世界34カ国から116本. ワールドプレミア30本に加え、インターナショナルプレミア2本、アジアプレミア18本、韓国プレミア17本と、韓国で初公開される作品は計67本に上る. 全上映スケジュールは映画祭公式サイト(sipff. kr)で確認できる. ​ 今年の映画祭の幕開けを飾るのは、〈ブラック・ボール〉.

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