巨匠 「イ・ジュニク監督」がスクリーンの文法を覆した。第30回 「富川国際ファンタスティック映画祭」(BIFAN)で初めて公開された 「父の家の手料理」は、大胆な 「縦型ショートフォーム・ドラマ」という形式で、これまでにない視覚的衝撃を与えながら、映像美学の新たなパラダイムを提示する。

スクリーンを引き裂く縦の本能、没入の極大化
従来の劇場が誇る堂々たる横長比率を、思い切って離れた。大型スクリーンの中央を縦に貫く映像は、一見すると視界を狭めるように見えるが、これは徹底して計算された演出だ。人物の微細な表情の変化と感情の流れに極限まで密着し、観客を物語の奥深くへ引き込む。 「イ・ジュニク監督」は、「従来の映画が広い画面の饗宴だとすれば、「ショートフォーム」は、人物の内密な状況をのぞき込むような圧倒的な没入感を与える」と強調した。
同名のウェブトゥーンを映像化した本作は、家父長的な秩序の化身ハ・ウン(「チョン・ジンヨン」役)と、生涯彼の味覚に尽くしてきた妻スンエ(「イ・ジョンウン」役)の人生を照らし出す。思わぬ事故で料理の作り方を失ったスンエの物語は、穏やかだった家族の亀裂と修復を導く核心の原動力として機能する。
![『父の家の手料理』のワンシーン[富川国際ファンタスティック映画祭 提供。再販およびDB禁止]](https://cdn.www.cineplay.co.kr/w900/q75/article-images/2026-07-06/dc35e15a-9fa5-4dba-9f72-d1c9c2653912.jpg)
形式の破壊が生んだアンサンブル、メディアの境界を崩す
BIFANの「プラットフォーム企画展:ショートフォーム・シネマ」部門を飾った本作は、全2時間36分に及ぶ膨大な物語を誇る。 「イ・ジュニク監督」は、「長い尺の上映でも、観客が毎フレームで即座に反応する現象は、とても勇気づけられた」と述べ、メディアの外皮よりも物語の本質が重要だと強調した。さらに、「物語が持つ価値がはっきりしていれば、形式は付随にすぎない」とし、しっかりした原作と名優たちの 「アンサンブル」をたたえた。
「チョン・ジンヨン」、「イ・ジョンウン」をはじめ 「ビョン・ヨハン」や 「パク・ジヨン」など、名だたる演技派俳優の参加が、作品の密度を最高まで引き上げた。とりわけ俳優 「パク・ジヨン」は、「縦のフレームが顔の筋肉の微細な震えまであけすけに捉えて、怖さが先に立った」と振り返り、見慣れない媒体が要求する、熾烈な演技への奮闘を回顧した。
![『父の家の手料理』のワンシーン[富川国際ファンタスティック映画祭 提供。再販およびDB禁止]](https://cdn.www.cineplay.co.kr/w900/q75/article-images/2026-07-06/a3a57fd6-1f99-426e-9ff9-55277b6b1d06.jpg)
権威の覆転と癒やし、家族劇の新たな選択肢
本作は、食卓をひっくり返してきた古い権威が崩れ、献身に彩られた妻との関係が逆転していく過程を通じて、重みのあるペーソスと、陽気なカタルシスを同時に投げ込む。 「イ・ジュニク監督」は、「人間は切迫した状況の中で、いちばん近い存在に傷を負わせる。しかし、その過ちを直視し、連帯していく過程こそが人生だ」と、哲学的な企画意図を説いた。
![『父の家の手料理』のワンシーン[富川国際ファンタスティック映画祭 提供。再販およびDB禁止]](https://cdn.www.cineplay.co.kr/w900/q75/article-images/2026-07-06/7dc688f4-17cf-4e25-ad49-6375ae3502bb.jpg)
ショートフォーム生態系の進化、スクリーンを一点に捉える
何より本作の成果は、刺激的な恋愛劇や復讐劇があふれていたショートフォームの生態系に、きちんと作り込まれた 「家族劇」という品格ある代替案を提示した点にある。ニュー・メディアの無限の拡張性の中で 「父の家の手料理」が先導する起爆剤になってほしいと期待する 「イ・ジュニク監督」は、迫り来る旧盆(チュソク)連休の劇場での正式公開を狙い、また一つの波を予告している。

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